『ツナグ』 辻村深月
残された者たちの思い
人は大切な人が亡くなった悲しみを乗り越えながら生きていく。
「また会いたい」「また話をしたい」
そんな思いがあっても、その人が死んでしまった後ではその思いは叶わない。
もし一度きりでも死者と会って話ができたらどうなるのだろう?
こんな夢物語を描いたのがこの『ツナグ』という小説です。
「死んだ人間と生きた人間を会わせる窓口。僕が使者です」
急逝した人気芸能人・水城サオリに憧れていたOL平瀬愛美。
頑固で口が悪いが、家のことを常に考え長男としての自覚溢れる畠田靖彦。
親友を殺してしまったのではないかという疑念に苛まれている嵐美砂。
7年前に失踪した婚約者を一途に待ち続ける土谷。
死者に会いたいと願い、うわさを頼りにツナグの存在にたどり着いた彼らの目の前に現れたのは、高校生の少年でした。
依頼人たちは死者と話すことで、死者と会わなければ本来知り得なかった秘密を知ります。
本来暴かれることがなかった秘密を知ることは本当に良いことなのか?
生きている人間が自分の心残りや不安を解消するために死者に会うのは生きている者のエゴなのではないか?
死の意味について、死との向き合い方について改めて考えさせられる小説です。
そしてツナグの正体は一体?
ツナグの知られざる過去や彼の思いについては最終章で明らかになります。
依頼人たちの葛藤だけでなく、ツナグ自身の成長の過程からも目が離せません。
⭐️ 続編『ツナグ 想い人の心得』についても感想を書いています。
こちらも是非読んでみてください!
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