『ツナグ 想い人の心得』 辻村深月
人と人をつなげる不思議なご縁
※この小説は辻村深月著『ツナグ』の続編です。
前編の『ツナグ』についても感想を書いているのでぜひ読んでください!
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使者の依頼は"ご縁''だ。
祖母にも、大伯父にもそう教えられた。絶対に繋がらない人がいる一方で、必要な人のところには、それが自然と訪れるようになっている。
死んだ人と生きた人をつなげる窓口、使者(ツナグ)
前編では使者・歩美は高校生でしたが、おもちゃメーカーへの就職を果たし、立派な社会人に成長しました。
『想い人の心得』では、使者と会社員の「二足のわらじ」を履く歩美の苦悩や彼の成長にフォーカスが当てられています。
借金まみれで酒浸りだった父に会い、彼に一発殴って復讐したいと思う若手俳優・神谷ゆずる
生涯にわたり故郷の英雄上川岳満のことを研究し、彼に会いたいと切望する鮎川老人
自らの不注意で幼い娘を死なせてしまったことを後悔し続ける重田夫妻
若くして乳がんで亡くなった娘に会い、お礼を言いたいと願う小笠原時子
長年にわたり、亡き想い人と再会することを願い続ける蜂屋
そして、おもちゃメーカーでの仕事を通じて懇意になった、工房の大将夫妻とその娘奈緒
彼らとの会話を通じて、家族・人生・恋愛といった大切な問題に向き合い、歩美は自らの歩むべき道を決めていきます。
使者の依頼は"ご縁''だ。
歩美はたくさんの"ご縁''に恵まれたおかげで、人生の重大な局面を乗り越えることができたのです。
現実の世界では生きた人が死者に会うなんて突飛なことは起こりえません。
しかし、「誰かがそうなるように仕向けたんじゃないか?」と思ってしまうような不思議なご縁は現実にもいっぱいあるように思えます。
私たちはそんな"ご縁''があるおかげで、毎日幸せに生きていられるのかもしれません。