『老人と海』 ヘミングウェイ作 高見浩訳
人間の生物としての本能
【目次】
1. 本の内容
2. 生と生のぶつかり合い
1. 本の内容
『老人と海』は、84日間不漁に見舞われた老人が、大物獲得を目指して一人で漁へ出るストーリーです。
老人は数日の格闘の末、超大物カジキを釣り上げますが、カジキの血を嗅ぎつけたサメが幾度となく死肉を食い荒らそうと近づいてきます。
老人とカジキとサメ。三者が命をかけてぶつかり合う。生命の躍動が感じられる作品です。
2. 生と生のぶつかり合い
84日間の不漁の末、ようやく老人の釣綱にカジキがかかりました。
しかし、カジキはそう簡単に釣り上がってはくれません。
鉤にかかったまま海深くを泳ぎ続け、持久戦に持ち込んだのです。
老人は肩に釣綱をかけてカジキを引っ張り続けたまま数日間、不眠不休で泳ぐカジキと対峙し続けます。
老人が命をかけてカジキに立ち向かう様は、ヒトの生物としての本能が露わになった形であると思います。
力では敵わない自然界の大物相手に、知力で対抗してきた勇ましい人間の姿。
ヘミングウェイは、この姿が人間の本来あるべき姿であると考えているのだと思います。
老人はやっとの思いでカジキを釣り上げますが、サメの襲撃を受け、カジキの肉はほとんど食いあらされてしまいます。
必死に釣り上げた大物を横取りされる老人の気持ちを考えると切なくなりますが、サメも生きるために必死なのです。
一筋縄ではいかない自然界の厳しさを教えられました。